依存症は進化の礎を、

自らとその周辺を犠牲にする代わりに置きに行く機能がある。

例えば肺魚。

水が干上がるのは肺魚の意志でないが、生きられる環境条件(=水)が徐々に減少につれ、それでも生きられる別のモードに入ることができる。

つまり人間に例えば当てはめてみると、交配者にありつけない代わりにインターネット中毒になり、スコール(=水)を待つことになる。

お金は現時点では最も身近で得られやすく生命維持条件に近い生命維持とは関係ないものであるが、見方を変えればニコチンより人を殺している、未だに人類が依存をやめられない物質とも言えよう。

では今、一体睡眠と食事と性交渉のみに人間の興味がリセットされたとして、人間は生きていけるのだろうか？私はイエスと答えるが、そのリセットした人間の名を冠する生き物は直ぐに滅びてしまうだろうと考える。

命は命を食べて生きている。命を食べることで熱を得る。熱を得る仕組みを作る。熱を得る仕組みを保存する方法を考えだす。何十億年の間にそれが複雑化していった結果が現在の宇宙であり、人間というひとつの種の反映である。

考えて、モデル化し、統計化して新たに産み出す行為は、人間以前の生物がその生命そのものを使ってシミュレーションしてきた命の連続を再生しているのとなんらかわりなく、止まるも進むもありとあらゆる感情は、いつか地球の発した一表現がつかの間人を通して再上演されているだけなのだが、一匹ぽっちの人間にその意味は知れない。

きっと植物も、なぜ自分が枯れかけているのか、隆盛し爆発的に増えているのか、本当は考えながら、しかし一本にはどうしたらよいのか途方にくれている。

人間は最も進歩的か。

進歩的とは一体何か。わかるとは、考えるとは。

マグマが煮えたぎり、冷えて溶けてを繰り返していた頃よりも、

地球の⌈情緒⌋は安定しているのだろうが、いっさいの満足と不安は、温度が上がることと、下がることに終止すると思ったところで、一匹の小さなこの人間は、目の前の細かな選択肢に嘆息して止まないのだけど。